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ワックスツリーの組み立て

ワックスツリーという名称は、出来上がった形状が樹木に似ていることに由来して、この呼び名となっています。
必要数のワックス型をセンタースプルー(溶湯の傾注口/押し湯に直結した、鋳型内の主となる湯道)に取り付けます。このワックスツリーに取付けるワックス型の数量は、『個々のワックス型の大きさ』、鋳造機の『最大溶解量』や『鋳込み能力』、それに『使用する鋳型(フラスコ)のサイズ』の相互関係で変わります。また、センタースプルーの太さやワックスツリーそのものの形状も鋳造法案などの違いにより決定される場合があります。つまり使用する鋳造機や鋳造方法により適切な立て方を行うことが必要です。ここでは、金・銀合金の鋳造で一般的な、加圧又は吸引鋳造で行われる立て方に沿って手順を紹介しています。
ワックスツリーの形状やワックス型の数量が違っても、基本となる考え方は共通です。『フラスコ(鋳型枠)の内側からワックスツリーの各先端部までの距離』『鋳型の上下部の距離』『ワックス型の大きさや厚みに対して、ワックス型相互の距離』などを適切に取ります。近すぎる場合、隣り合わせの鋳造品が癒着したり、お互いの溶湯の熱による影響で『指向性凝固(湯道の遠い部分から順番に金属を凝固させること)』が阻害されたり、場合によっては、輻射熱により鋳巣が発生するなど、様々な鋳造欠陥の発生を助長する可能性があります。また、ワックス型とセンタースプルーの取付け部付近の湯道は、ヘコミやキズなどが付きやすく、溶湯(ヨウトウ)の乱流の原因となります。また、特にワックス側での穴は、焼成後の鋳型空洞に対して『突起』となり、この小さな突起が鋳造時の溶湯の流入圧力に負けて折れることがあります。この埋没材の『折れ(欠け込み)』が鋳造欠陥の重大な原因となる場合があるので、このワックスツリーの組み立ての際には、ワックスにヘコミ・キズ・穴などが無いよう、湯道表面を滑らかに慣らしておく必要があります。また、特に冬場など空気が乾燥している状況では、静電気が発生し、ワックス型に空気中の塵やホコリが付着しやすくなります。このまま埋没すると、この塵やホコリが鋳造面を荒らす場合があるので、乾燥時の作業では、切り吹きなどでツリーにミストを与えるか、市販の静電気防止剤などをスプレーして塵やホコリの付着を防ぎます。
尚、ワックスツリーの組み立て作業前に、手持ちの各ゴム円錐台の重量を予め計量し、その数値をゴム円錐台の横などに書き込んでおきます。修正液などを使用すると洗っても文字が消え難いので便利です。これは、ワックスツリー完成後に鋳造で必要となる地金量を計算する際、そのワックスツリーの純ワックス重量が必要になります。実際の計量ではゴム円錐台ごと重さを計り、予め計っておいた円錐台の重量を差し引いて純ワックス量を算出し、その値に鋳造する地金の比重を掛け、押し湯分を足した量がその鋳型に対して必要な鋳造地金量となります。


金・銀合金鋳造用のワックスツリーの一例
ワックスツリー組み立ての順番はありません。上からでも下からでも、作業のしやすいほうから行います。但し、センタースプルーの根元から最低1cm(デザインによってはそれ以上)の間隔をあけてワックス型を取り付け、センタースプルーの頂点も約1cm程度の範囲にはワックス型を取付けないようにします。
センタースプルーの太さや長さは、『鋳造機の能力』『鋳造法案』『ワックス型のデザインや体積』により異なりますが、ここで写真掲載しているような、比較的大きな鋳型の場合には、8φ-6φmmの先端がやや細くなったセンタースプルーを使用します。尚、実際の組み立て作業中には、ときおりフラスコを装着して、フラスコ内径とワックス型との距離が適切に取られているかどうかを確認しながら作業を進めます。この場合では、加圧又は吸引鋳造を想定していますので、最低5mmほどの距離を確保する必要がありますが、ワックス型の先端部の体積が大きい場合や遠心鋳造など、鋳込み初速が大きな場合には、それ以上の距離を確保することが必要な場合があります。


ワックス射出成型作業の流れ

1.ゴム円錐台の穴に溶けたワックスを充填して、センタースプルーと台に隙間が出来ないようにします。 2.センタースプルーを垂直に立て、余分なワックスやヘコミなどの段差が無いよう、丁寧に円錐台にならします。 3.レクロン刀と呼ばれる工具やワックス用ヘラをアルコールランプ等で暖め、その熱でワックスを溶かして、上下左右に隣り合うワックス型の間隔を適切に確保しながら、ワックス型をセンタースプルーに取り付けていきます。 4.取付け部の湯道付近に窪みや穴を作らないよう、表面をなめらかにします。作業効率を確保するために、ワックスワーカー(ワックスペン)と呼ばれる電熱線式の専用工具を使用する場合もあります。

⇒次の工程は【埋没作業】です。

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