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鋳型の焼成

埋没が完了して硬化した鋳型をロストワックス鋳造専用の焼成炉で焼成します。専用炉を使用しないと、炉内が酸素欠乏状態となり、ワックスが酸素不足により炭化した状態で鋳型内に留まります。鋳造時に溶けた地金が鋳込まれた際、炭化物が地金の熱により燃えて気化します。この気化ガスがガス鋳巣の原因の1つとなり、場合によっては、修正不可能な鋳造物が出来上がってしまいます。専用炉を使用した場合でも、低温での脱ロウ工程を充分に確保しなかったり、彫刻用(ハード)ワックスなどのようにワックス自体の組成や融点が高いものでの焼成では、専用の焼成カーブ(室温から鋳造温度までの昇温プロセスをセグメントで示したグラフ又はデータ)に沿って焼成を行わないと、同じような結果になります。実際の鋳造では、『鋳造品のデザイン』『大きさ』『肉厚』『地金の種類』により、鋳型の鋳造温度は異なりますが、石膏系埋没材での焼成の場合では、一度鋳型温度を750℃まで上げて鋳型を焼結(焼き固める事)させた後、希望の鋳造温度(鋳型温度)まで下げます。一般的に言うと、細かいデザインの場合には鋳型温度を高めにし、肉の厚いデザインには、鋳型温度を低めにします。高すぎる温度や低すぎる温度で鋳造すると様々な鋳造欠陥が発生してしまいます。このように、鋳型焼成は、実際の鋳造結果に直接的に影響を及ぼす最も大切な鋳造前工程と言えます。
焼成工程には、大きく分けて2つの工程に分けられます。その第一が『脱ロウ工程』です。脱ロウは、比較的低温で鋳型を加温し、鋳型内のワックスを外へ排出させる工程です。脱ロウ工程が完了したら、炉内の温度を一定のペースで上げ、鋳型を焼結させる『焼成工程』を行います。その後希望する鋳造温度まで鋳型温度を下げてから鋳造を行います。
ロストワックス鋳造用の焼成炉は、日本の場合ほとんどが電気式を使用しています。また、炉内温度の調節は、『手動』でその都度温度を変える方式と、予め予定の昇温数値(温度)を入力し、そのデジタル信号に沿って電流を変える『プログラムコントロール』方式とがあります。手動でも自動でも適切な昇温カーブの値は変わりませんが、ある程度以上の生産効率を追う場合には、プログラムコントロール付きの電気炉で夜間に焼成します。また、焼成には独特の臭いが発生するため、近隣への環境保全を目的として夜間の焼成を行う場合もあります。余談ですが、最近では、この臭いの問題で、電気炉に後付けが可能な二次燃焼装置(アフターバーナー)と呼ばれる、臭いの軽減装置の併用が一般化しています。


金・銀合金鋳造用の鋳型の焼成
脱ロウ工程では、低温で加温し、ワックスを鋳型から排出させます。実際には、溶けたワックスは、鋳型に残留する水分が沸騰し、その力を借りて鋳型外へ排出されます。ですから、乾燥し過ぎた鋳型は脱ロウ効果が著しく低下します。金・銀合金鋳造の場合では、埋没完了後の鋳型を数日放置した後に鋳造する事は可能ですが、その際には、乾燥した鋳型を30分程度水に浸けてから焼成させます。脱ロウ工程であまり炉内温度を高温にし過ぎると、水分沸騰の勢いとワックスの急激な膨張により、鋳型の内壁が荒れたり、剥離したりし、極端な場合には鋳型にクラック(割れ)が入ってしまうので、急激な加温は禁物です。特に、彫刻用(ハード)ワックスの焼成の場合には、ワックスの粘性や膨張係数が大きいため、脱ロウには長めの時間をかけ、適切な温度管理が必要とされます。
脱ロウ工程が終了し、炉内温度が上昇するにつれ、『燃焼期』に入ります。炉床に染み込んでいたワックスが気化し始め、一定の温度に達すると一気に火が付き燃え上がります。(焼成炉とワックス総量の関係で、燃焼開始時期は変わります。)この時、臭いとススの発生がピークに達します。さらに炉内温度が上昇し750℃あたりの温度域で鋳型の焼結が始まります。
この焼結が充分行われないと、焼成鋳型の充分な強度が得られないため、デザインによっては鋳造時に鋳込まれた溶湯の勢いで鋳型内の細部が壊されることがあります。これは、『局部的な鋳肌の荒れ』『局部的なガス鋳巣』『鋳造面のヘコミ』『欠損』『異物混入(研磨時に鋳造物の中から埋没材が出てくる)』などの鋳造欠陥として、鋳造物に現れます。
前述のように、石膏系埋没材では、炉内温度を750℃に昇温することが推奨されています。炉内温度はあくまでも炉内の温度であり、鋳型内の温度ではないため、750℃に炉内温度が到達した後、最低1時間はこの温度を保持し、炉内温度と鋳型内温度が同じになるようにします。これは、埋没材が高い断熱性を持っていて鋳型外周部と内部の温度が均一化されるまで時間がかかるためです。また、推奨される750℃以上(800℃前後)の温度を鋳型に与えると、埋没材内の石膏が温度分解を始め、鋳造に有害なガスを発生し、やはり、ガス鋳巣の原因となるので、焼成では的確な温度管理が要求されます。


鋳型の炉内設置作業の流れ

1.ガムテープを外します。 2.フラスコの高さ以上に盛られた余分な埋没材をヘラなどで削り、鋳型の面を平らにならします。 3.湯口(溶湯の注ぎ口)にキズが付かないように注意して、鋳型からゴム円錐台を外します。 4.湯口部を下にして、鋳型を炉内に設置します。鋳型どうしが接触しないように注意します。
     
5.脱ロウ・焼成・鋳造温度までの昇温プロセスを手動又は、プログラムによる自動運転で行います。鋳型の数量や焼成炉の能力により変わりますが、焼成全行程には約6~9時間を費やします。      

⇒次の工程は【鋳造】です。

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