焼成の基本
実際の鋳造では、『鋳造品のデザイン』『大きさ』『肉厚』『地金の種類』により、鋳型の鋳造温度は異なりますが、大きく分けて『脱ロウ工程』『焼成工程』『焼結工程』の3つの工程に分けられます。
脱ロウは、比較的低温で鋳型を加温し、鋳型内のワックスを外へ排出させる工程です。脱ロウ工程が完了したら、炉内の温度を一定のペースで上げ、鋳型を焼結させる『焼成工程』を行います。焼結工程で鋳型を固めた後、希望する鋳造温度まで鋳型温度を下げてから鋳造を行います。
脱ロウ工程
低温で加温し、ワックスを鋳型から排出させます。実際には、鋳型に残留する水分が沸騰する力を借りて、溶けたワックスが鋳型外へ排出されます。ですから、乾燥し過ぎた鋳型は脱ロウ効果が著しく低下します。
金合金・銀合金・銅合金などの鋳造で、埋没完了後の鋳型を数日放置した際には、乾燥した鋳型を10分程度水に浸けてから焼成させます。
脱ロウ工程であまり炉内温度を高温にし過ぎると、水分沸騰の勢いとワックスの急激な膨張により、鋳型の内壁が荒れたり、剥離したりし、極端な場合には鋳型にサーマルクラック(割れ)が入ってしまうので、急激な加温は禁物です。特に、彫刻用ワックス(ハードワックス)の焼成の場合には、ワックスの粘性や膨張係数が大きいため、脱ロウには長めの時間をかけ、適切な温度管理が必要とされます。
焼成工程
脱ロウ工程が終了し、炉内温度が上昇するにつれ『燃焼期』に入ります。
焼成炉とワックス総量の関係で、燃焼開始時期は変わりますが、おおむね250℃~300℃炉床に染み込んでいたワックスが気化し始め、一定の温度(おおむね350℃)に達すると一気に火が付き燃え上がります。この時、臭いとススの発生がピークに達します。500℃を越したあたりで炎が落ち着きます。
焼結工程
さらに炉内温度が上昇し730℃あたりの温度域で鋳型の焼結が始まります。
この焼結が充分行われないと、焼成鋳型の充分な鋳型強度が得られないため、デザインによっては鋳造時に鋳込まれた溶湯の勢いで鋳型内の細部が壊されることがあります。これは、『局部的な鋳肌の荒れ』『局部的なガス鋳巣』『鋳造面のへこみ』『鋳込み不良』『欠け込み』による異物混入(研磨時に鋳造物の中から埋没材が出てくる)』などの鋳造欠陥として、鋳造物に現れます。
埋没材は高い断熱性を持っていて鋳型外周部と内部の温度が均一化されるまで時間がかかるため、炉内温度が推奨されている750℃に到達した後、最低1時間はこの温度を保持し、炉内温度と鋳型内温度が同じになるようにします。(φ60程度の小さな鋳型の場合で最低30分、それ以上の大きさで最低1時間)
750℃以上(800℃前後)の温度を鋳型に与えると、埋没材内の石膏が温度分解を始め鋳造に有害なガス(主に三酸化硫黄)を発生させます。ガス鋳巣の原因となるので、焼成では的確な温度管理を徹底してください。
鋳型の炉内設置作業の流れ
ガムテープを外す
フラスコ上部に貼り付けたガムテープを外します。

炉内に設置する
湯口部を下にして、鋳型を炉内に設置します。鋳型同士が接触しないように注意します。



